2023年の5月にMicrosoft認定資格プログラム(Microsoft Certification Program, MCP)の初級レベル、Fundamentalsと名前が付く○○-900番台の試験に8種(AZ-900、SC-900、MS-900、PL-900、AI-900、DP-900、MB-910、MB-920)合格し、対応する資格を取得しました。
MCPには色々種類がある上新旧混在しており、○○-XXXのフォーマットになっている比較的最近の資格でもレパートリーがありますが、一応2023年5月現在で初級レベルかつFundamentalsのカテゴリに位置する資格は全制覇したことになります。
せっかくなので、一つ一つ試験の紹介を。
AZ-900: Microsoft Azure の基礎
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/az-900/
通称、よくタダになってるやつ。
Azureについての基礎的な知識を問う試験になります。
対応する資格はMicrosoft Certified: Azure Fundamentals。
頻繁にAzureを使っているなら案外簡単な印象でした。
よく無料になっているのを見ますが資格名からも分かる通りAzureのことしか聞かれないので、MicrosoftさんはMS-900の方のプロモーションをした方が良いのでは…と思いました。
SC-900: Microsoft セキュリティ、コンプライアンス、ID の基礎
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/sc-900/
自身が専門にしている(?)セキュリティ分野の資格。
Microsoft製のセキュリティ製品(とAD)の知識を問う試験です。
対応する資格はMicrosoft 認定: Security, Compliance, and Identity Fundamentals。
興味関心やスキルが指向している分野というのもありますが、実はこの試験の上位試験に当たるSC-200を半年ほど前に合格していることもあり、難なく取得。
普段Azureを使っているだけでは全く使わない製品&法人向けの製品なども頻出するので、AZ-900のように完全に対策無しで合格するのは難しい印象でした。
MS-900: Microsoft 365 基礎
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/ms-900/
最近何かとMicrosoftがプッシュしているOfficeのサブスク版、Microsoft 365に関連する資格。
対応する資格はMicrosoft 365 Certified: Fundamentals。
その名の通りOfficeの資格…かと思いきや、MOS(Microsoft Office Specialist)とは違い、ソフトウェア毎の具体的な知識は聞いてきません(雰囲気は模擬試験をさらっと見てもらえれば分かるかと)
Microsoft365の請求関係やオンプレライセンスからの移行について聞いてきたりと、企業の導入担当者向けの資格という雰囲気です。
PL-900: Microsoft Power Platform 基礎
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/pl-900/
お世話になっているAzure→専門にしている領域→Microsoft製品全般ときて、次に選んだ資格は自動化ツールやらローコード開発ツールが含まれるPower Platformに関連する資格。
対応する資格はMicrosoft Certified: Power Platform Fundamentals。
記憶が定かではないですが、2年ほど前に突如としてWindows11のMicrosoft Storeに現れ、興味本位で入れたら500MB位のダウンロードを要求してきたPower Automateが含まれる資格ということで始める前から密に楽しみにしていました。
IT系ではない一般の方が受けるならこの試験が一番役に立つのでは…?と思う感じの、イケイケな生産性向上ツールの集まりです。(個人の感想です)
AI-900: Microsoft Azure AI Fundamentals
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/ai-900/
Microsoft製のAI関連製品に関連する資格。Azure成分多め。
対応する資格はMicrosoft Certified: Azure AI Fundamentals。
稀にちらっと耳にするAzureのAI製品について簡潔に纏められている資格という印象です。
AIも機械学習も正直専門外なので不安でしたが、寿司のお値段を判定しようとした(そして完成しなかった)経験や迷惑なIME辞書を作ろうとした経験がモロに生きて驚きました。何でもやっておくもんですね。
次AIで何かするときはこの辺りの製品群にお世話になりそうです。
DP-900: Microsoft Azure のデータの基礎
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/dp-900/
データベースについて聞かれる資格。これもまたAzure成分多め。
対応する資格はMicrosoft Certified: Azure Data Fundamentals。
データベースは専門外な上、あまり得意でも無いので身構えていましたが、クエリを書かされるわけでもなく(そんな実務的な試験ではないです)、終始Microsoftのデータベース関連製品で何が出来るかについての問答でした。
Microsoft Dataverseの万能感が凄かったです。
MB-910: Microsoft Dynamics 365 Fundamentals (CRM)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/mb-910/
マーケティングとセールスに関するMicrosoft製品の試験という感じです。
対応する資格はMicrosoft Certified: Dynamics 365 Fundamentals (CRM)。
今回の8つの試験は2試験づつ、合計4回に分けて受験したのですが、このMB-910とMB-920が一番最後に受けた回でした。
マーケティングとセールス、それにカスタマーサービス、どれを取っても専門外で完全なアウェー。特に勉強した試験になります。
ここで落ちるとFundamentals試験全制覇!と言えなくなるのも相まって、結構な緊張感でした。
普段IT界隈にいるとDynamics 365は名前を耳にしませんが、Microsoftはそんなジャンルまで手を出してるのね…と思わされる試験でした。
MB-920: Microsoft Dynamics 365 の基礎 (ERP)
https://learn.microsoft.com/ja-jp/certifications/exams/mb-920/
財務&ヒューマンリソース。
対応する資格はMicrosoft Certified: Dynamics 365 Fundamentals (ERP)。
MB-910に引き続き、Dynamics 365戦第2戦にしてFundamentals試験最終戦。そしてアウェー戦。
まさかMicrosoftの試験で財務諸表という単語を見ることになるとは思いませんでした。
日商簿記2級を持っているのが若干理解の助けになりましたが、簿記や会計の知識が無くてもMicrosoft Learnをしっかり見ればなんとかなる印象です。
全部受けてみて
「Microsoft、何でもやってんな…」というのが第一印象でした。
そも、当初はAZ-900の露出度の高さからMCPはAzure関連の資格という印象が強かったんですが、全然そんなことは無く、Microsoftが幅広く展開する製品分野に広く対応している印象です。
序盤のセキュリティ関連Azure関連はともかく、終盤のDynamics 365はこういった纏めて勉強するような機会にしか触れない内容だったので、専門からは脱線した感じもありましたがまあこれはこれで楽しかったです。
ここが良いよMCP
まず、私が住む田舎香川県にもテストセンターがあります。(意外と重要)
GCPの関連資格やOCIの関連資格なんかは香川県にテストセンターが無く、海を渡らなければいけませんし、自宅受験にもパスポートなどの国発行&英語表記の身分証明書が必要だった気がします。(記憶がかなりあやふやです、違うかもしれない)
海外のベンダー試験の場合、自宅受験をすると試験官の方が外国の方で、(公式サイトだと名指しでOKと言われているにもかかわらず)運転免許証だと本人確認できないと試験開始10分前に言われる…といった話を聞く中では、やはり近場にテストセンターがあるのはかなり楽でした。
また、学習教材としてMicrosoft Learnが非常に優秀。
完全に試験範囲が網羅されており、これだけで確実に合格できます。ただし、試験対策というよりも製品の解説&説明書という雰囲気で、分量は非常に多いです。動画などもあってクオリティとしては非常に高いんですが。
試験対策ならUdemyとかになるんでしょうか。しかし、タダで利用できるというメリットは非常に大きい。
また、アクセスする度内容が変わる模擬試験も用意してくれています。
ベンダー資格にも関わらず更新が不要なこともポイント。
Fundamentals限定ですが。ベンダー資格を取り始める足掛かりとしては非常に良いんではないでしょうか。
ここがダメだよMCP
模擬試験が英語版のみです。
しかもMicrosoft製固有名詞が多いですし、選択肢はそれぞれ単語のみなので、機械翻訳は本当に苦戦します。選択肢は本来の意味と外れた意味になることも多かったです(Google翻訳を使用)。
これは特にDynamics 365の範囲でひどく、模擬試験2周目からは原文で読んだ方が速いこともたびたび。
Microsoftの製品は日本語ローカライズが分かりづらいともっぱらの評判の中、日本語ローカライズでの言い回しをすぐに確認できないのも少し面倒でした。
しかし、模擬問題で正答を表示したときに一緒に出てくるMicrosoft Learnの関連リンクはクリックすると日本語ローカライズ版に勝手に転送してくれます。
資格や試験の数が多すぎます。
SC-900やAZ、MS-900…ときて、MB-910とMB-920です。MB-900はどこいった?!となりますよね。実は存在します。今はもう受けられませんが。
このように、MCPは名称がMCPになる前のものも含め色々な資格が数十年分纏まって存在しており、しかも廃止された試験資格が永らく公式サイトに表示されるような状態が続いているので、正直言ってカオスです。
これは上位資格になればなるほどカオスが深まり、Aという資格の前提資格としてB,C,D,E,F,Gのどれか一つがあり、それぞれの試験としてH,I,J,K,L,Mがあり、うちH,Iは廃止済み、Jは廃止予定…的な。(例です、そんなカオスな試験は今の所確認していません。が、存在するかもしれませんし今後発生しそうです)
試験名と資格名で分かれるのも正直デメリットです。
ページを移動しないと該当資格が分からないことや、前提資格がパッと見分からないことに限りません。
履歴書を書く時が途轍もなく面倒です。
「SC-900 合格」と書けば試験に合格したことしか意味しません。(まあそれだけでも大抵のIT人材を担当する人事の方には分かってもらえそうなもんですけども)
正式名称をきちんと書くなら「Microsoft 認定: Security, Compliance, and Identity Fundamentals 取得」になります。勿論基本は電子作成、コピペですが、正直手書きしたくないです。
これを計8つ、履歴書毎に書くなんて考えたくありません。十中八九どこかでスペルミスします。
資格名としても正直分かりづらいですし、ここはなんとかならないんでしょうか。
まとめと今後
ひとまず、Fundamentals系の試験を全部受けてみるというのは面白い経験で、やってみて良かったというのが全体的な感想になります。
今後専門にする(していく)セキュリティ分野の勉強が進んでいく中でどうしても専門的な資格を突き詰めていくような形になっていきますが、そんな中Dynamics 365のような専門外の資格を取るというのは(私の中では)希少な経験になったかなと。
実際、将来所属する会社でDynamics 365が使われる可能性は普通にありますし、財務や社員の情報のような機微な情報を守る側になる事は十分に考えられるので、そういった時に活かせるといいなあ…と思っています。
今後の目標としては、お世話になっているAzure、専門分野の嗜好を考えると、やはりSC-100合格です。(遅くともSC-200の更新期間が始まるまでには取っておきたい)